約30,00haの水田を活用し、10年間で累計約130万トン のカーボンクレジット創出を目指す
ネイチャーベースのカーボンクレジット創出・販売事業を展開するGreen Carbon株式会社(代表取締役:大北潤、以下Green Carbon(グリーンカーボン))は、カンボジア北西部バッタンバン州における水田由来のカーボンクレジット創出プロジェクト(以下、本プロジェクト)に向けて、バッタンバン州農林水産局(Provincial Department of Agriculture, Forestry, and Fisheries、以下PDAFF※1)とMOUを締結したことをお知らせします。
本プロジェクトは、バッタンバン州の対象水田圃場にAWD(間断灌漑※2)を導入し、メタンガス排出量の削減を目指します。2025年4月のプロジェクト開始後、3年以内に同州の水田約3万ヘクタールへと拡大し、10年間で累計約130万トンのカーボンクレジットの創出を見込みます。また、本プロジェクトは、カンボジアにて実用化に向けた展開をする水田メタン排出削減事業としては日本企業初であり、持続可能な農業と気候変動対策を両立する先駆的な取り組みとなります。
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◆本プロジェクトのMOU締結背景と各社の役割
Green Carbonは、東南アジアを中心に自然由来のカーボンクレジット創出に取り組んでおり、森林保全、水田、マングローブ植林、牛のゲップ削減、バイオ炭プロジェクトなど自然由来のカーボンクレジット創出を幅広く展開しています。各地域の自然資源の特性に適したカーボンクレジット創出プロジェクトの開発を行うとともに、衛星データを活用した適地選定とモニタリングにより、効率的かつ透明性の高いプロジェクト運営を実現しています。
特にカンボジアでは、水田からのメタン排出削減と籾殻を有効活用したバイオ炭生成の二つを重点分野として注力しています。Green Carbonは2024年10月より、カンボジア王立農業大学(Royal University of Agriculture、以下「RUA」)との共同研究により、本プロジェクトのパイロット実証を進めてまいりました。この度、バッタンバン州全域へのプロジェクト本格展開および将来的な拡大を推進するため、同州の農業政策を統括するPDAFFとの間で正式にMOUを締結する運びとなりました。
本プロジェクトにおいて、PDAFFは現地農家との連携強化および参加促進、そして適切な灌漑管理システムの構築を担当します。灌漑管理については、バッタンバン州水資源気象局(Provincial Department of Water Resources and Meteorology、以下PDWRM※3)と緊密に連携し、効果的な水資源管理体制を確立します。技術面では、RUAが中核的役割を果たします。具体的には、現地農家へのAWD技術の導入支援・技術指導、メタンガス排出量の計測、および関連機関との連携促進などを担当します。
Green Carbonは、国際基準に準拠したカーボンクレジット創出のための知見共有、必要データの収集・分析体制の構築、そして創出されたカーボンクレジットの認証取得・販売までの一連のプロセスを主導します。この三者協働体制により、プロジェクトの信頼性と持続可能性を確保します。

○カンボジア・クメールタイムスによる本プロジェクト紹介記事

◆カンボジアにおけるGreen Carbonの取り組み
Green Carbonは、2024年4月よりJIRCAS(国際農林水産業研究センター、以下JIRCAS)が研究代表機関を務めるSATREPS( Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development)の協力機関として参画し、カンボジアでの水田水管理システムの確立による温室効果ガス排出削減技術の開発と社会実装を目指すプロジェクト(以下、SATREPSプロジェクト)に取り組んでいます。SATREPSプロジェクトは、日本のODAにより灌漑排水施設が整備されたプルサット州ダムナック・アンピル灌漑地区(トンレサップ湖西部)を対象に、水稲の収量を維持しながらメタン排出を抑制する広域的な水管理手法と温室効果ガス削減量をモニタリング・評価手法の開発を意図するものです。
Green Carbonは、ベトナム、フィリピンをはじめとする東南アジアでの水田プロジェクトによる知見を活かし、カンボジアの農業の脱炭素化に貢献を目指します。
◆本プロジェクトの意義と今後の展望
1.脱炭素化への貢献 |
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カンボジアの温室効果ガス(GHG)排出量は年間約4,880万トンCO2相当に達し※4、そのうち農業部門からの排出が約2,250万トン(全体の約46%)を占めています※5。特に水田からのメタン排出量は約1,170万トン(農業由来排出量の約52%)という極めて高い割合を示しており※6、国家の脱炭素化戦略において水田メタン削減は最優先課題の一つとなっています。本プロジェクトでは、バッタンバン州の最大約3万ヘクタールに及ぶ水田圃場にAWDを導入することで、メタン排出削減を目指します。約10年間のプロジェクト期間を通じて、カンボジアの農業セクター脱炭素化に大きく貢献します。 |
2. 持続可能な米生産の実現 |
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バッタンバン州は、カンボジア最大の米生産地域の一つです。農地総面積約41万ヘクタールの内約28万ヘクタール(68%)が水田として利用されており、州人口の約76%が農業、特に稲作に従事しています※7。カンボジア全土の米生産において中核的役割を担う地域です。一方で、米の価格と農家の収入の低さが深刻な課題となっています。これは、同州における主要生産品種が、輸出市場での需要が低いとされているためです。さらに、肥料や農薬を含む生産コストの増加が農家の負担を一層深刻なものとしています※8。 Green Carbonは本プロジェクトを通じて、AWD導入による米生産体制の革新を実現します。AWDの導入により収量の向上、カーボンクレジット創出にかかる収集データの活用による米の販路拡大を実現し、複合的なメリットを農家にもたらします。本プロジェクト実施地であるバッタンバン州、さらにはカンボジアの抱える課題に向き合い、農業の脱炭素化と持続可能な米生産に向けてプロジェクトを推進してまいります。 |
3. 二国間クレジット制度(JCM)を活用したクレジット創出 |
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本プロジェクトでは、ボランタリークレジット(Verra、Gold Standard)に加え、二国間クレジット制度(JCM※9)を活用したプロジェクト登録とクレジット創出を目指しています。日本においては、JCMクレジットがGX-ETS※10 制度下で企業の排出量超過分の削減に利用できることが決定され、今後その需要がさらに高まると見込まれています。また、東京証券取引所におけるJCMクレジットの取引導入も検討中であり、市場の流動性向上も期待されています。こうした背景から、JCMプロジェクトは現在大きな注目を集めています。カンボジアはJCMのパートナー国の一つですが、現時点では水田からのメタンガス削減に関するJCMクレジット創出方法論が確立されていません。そのため、Green Carbonは方法論の策定に向けて積極的に取り組んでいきます。JCMの活用により、プロジェクトの経済性を確保しつつ、カンボジアと日本両国の脱炭素化に貢献することを目指します。 |
※1:州農林水産局(Provincial Department of Agriculture, Forestry and Fisheries;PDAFF)
PDAFFは、各州の農業、林業、水産業の振興を担う地方政府機関です。具体的には、農業技術の普及、農村開発の推進、環境および資源管理の施策立案・実施を行い、地域の食料安全保障と持続可能な農業の発展を支援します。
※2:間断灌漑(Alternate Wetting and Drying;AWD)
間断灌漑(AWD)は水田の水位を目安に、数日おきに入水と自然乾燥を繰り返すという手法になります。間断灌漑(AWD)の場合、連続的な入水に比べ、水使用量を削減することができ、水資源の保全にも寄与します。
※3:州水資源気象局(Provincial Department of Water Resources and Meteorology;PDWRM)
PDWRMは、各州の水資源管理と気象観測を担う地方政府機関です。地域住民や農業関係者と連携し、持続可能な農業の実現に向けた灌漑技術の導入や水資源の公平な分配を促進します。特に水不足や気候変動の影響が深刻化する中、農村地域における水管理の改善を通じて、農業生産性の向上と環境負荷の低減を目指しています。
※4:年間GHG排出量
参照:GHG emissions of all world countries 2024 report
https://edgar.jrc.ec.europa.eu/report_2024
※5:農業由由来の排出量
参照:Climate watch 2025
https://www.climatewatchdata.org/countries/KHM?end_year=2021&start_year=1990#ghg-emissions
※6:水田由来の排出量
参照:Estimation of Carbon Dioxide Emissions from a Traditional Nutrient-Rich Cambodian Diet Food Production System Using Life Cycle Assessment
https://tsukuba.repo.nii.ac.jp/record/2004795/files/sustainability_13-7.pdf
※7:カンボジア農地面積、水田面積、農家の割合
参照:Asian food security information system
https://aptfsis.org/projectnewmorecambodia
※8:カンボジア農家の課題
参照:Cambodian Journalists Alliance Association News
※9:二国間クレジット制度(JCM:Joint Crediting Mechanism)
JCMとは、日本が有する優れた脱炭素技術等の普及を通じて、パートナー国の温室効果ガス排出削減に貢献し、その削減分を両国の削減目標の達成に活用する制度です。日本政府が主導する形で、パートナー国との間で構築される二国間制度であり、2024年2月時点で29カ国がパートナー国として参加しています。
※10:GX-ETS制度
日本初の全国規模の排出量取引制度。企業に対して温室効果ガス排出量の削減を義務付け、目標未達の場合は他社から排出枠を購入することを求める仕組み。747社(2024年度時点)が参画しており、2026年度からの本格稼働が目指されています。
◆Green Carbon 株式会社
代表者 :代表取締役 大北 潤
所在地 :東京都港区赤坂5-2-33IsaI AKASAKA607
設立 :2019年12月
事業内容 :カーボンクレジット創出販売事業、農業関連事業、環境関連事業、その他、関連する事業及びESGコンサルティング事業
URL : https://green-carbon.co.jp/
◆Green Carbon事業紹介
Green Carbonは、「生命の力で、地球を救う」をビジョンとして掲げ、国内外において自然由来のカーボンクレジット創出・登録・販売までを一気通貫してサポートする事業を展開しており、その他にも、農業関連事業、研究開発事業、ESGコンサルティング事業なども展開しております。
事業展開領域は日本、東南アジアを中心にオーストラリア、南米まで拡大しており、自然由来のカーボンクレジット(水田、バイオ炭、森林保全、カーボンファーミング、マングローブ植林、牛のゲップなど)を創出しています。国内の水田においては、2023年度日本初・最大級(約6,220t)で水田のJ-クレジットの認証を取得しており、2024年度は約40,000ha(約80,000t)に拡大していく予定です。また、クレジット登録・申請・販売までをワンプラットフォームで完結するサービス「Agreen(アグリーン)」を提供しており、クレジットの申請登録時にかかる手続きや書類作成などを簡略化し、クレジット創出者の工数を削減しています。
◆GREEN CARBON JAPAN VIETNAM COMPANY LIMITED
略称 :GREEN CARBON JAPAN VIETNAM CO,. LTD
代表者 :代表取締役 大北 潤
所在地 :10th Floor, The Nexus Building, 34-3B Ton Duc Thang, Ben Nghe Ward, District 1, Ho Chi Minh City, Vietnam
設立 :2024年8月
事業内容 :カーボンクレジット創出販売事業、農業関連事業
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