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水稲栽培における中干し期間の延長・間断灌漑を通したメタンガス削減によるカーボンクレジット創出事業でGreen Carbon株式会社と日本工営株式会社が協業を開始

-東南アジア・日本を中心に両社で事業を展開-

 カーボンクレジットの創出・販売支援事業を行うGreen Carbon株式会社(代表取締役:大北 潤、以下Green Carbon(読み:グリーンカーボン))は、日本工営株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金井 晴彦、以下、日本工営)とカーボンクレジット創出事業に関する協業を開始いたしました。日本工営と協力し水稲栽培における中干し※1期間の延長・間断灌漑(AWD)※2を通して、日本および東南アジアにおけるメタンガス削減によるカーボンクレジット(以下、クレジット)創出を目指します。

 カーボンニュートラル実現に向けた企業や自治体の取り組みは、多岐にわたります。そのうちの一つに、排出される温室効果ガスに見合った量の、温室効果ガスの削減活動に投資するカーボン・オフセットがあります。排出削減量を「クレジット」として認証を取得することで、取引が可能となります。

1.協業の背景
 Green Carbonは、東南アジアを中心にクレジット創出・販売支援事業を展開しており、東南アジアでは、水田の間断灌漑(AWD)実施を通じたメタンガス削減によるクレジット創出をメインに活動しています。

 東南アジアでは灌漑施設が整っていない地域が多く、そのような地域ではAWDに必要な用水量のコントロールが困難です。また、現地の水田農家の所得は低く、農家の所得向上や農法支援も重要です。加えて、農家のクレジット創出のための労力削減も1つの課題です。このように、東南アジアでAWDを活用したクレジット創出を実施するには、①クレジット創出に向けた水管理の指導、②クレジット取得支援と営農指導による所得向上、③クレジット創出のための労力削減の3つの課題を解決する必要があります。

 日本工営はODA(政府開発援助)案件を通じて東南アジアの灌漑施設整備の豊富な実施経験を有しています。現在までに日本工営が携わった東南アジア(タイ・ベトナム・フィリピン)の灌漑施設を活用し、水田の水管理に関するコンサルティングを行うことが可能です。

このたび、両社は協業を行うことで、日本工営の水管理及び営農支援の豊富な実績とGreen Carbonのクレジット創出事業の知見を集積し、現地農家のAWDを活用したクレジット創出支援を行います。

2.本連携の効果
 Green Carbonと日本工営の両社は、クレジットの創出・販売支援や、現地農家へのAWDの指導を通じて、収量増加による所得向上に寄与し、東南アジアの脱炭素化を促進します。Green Carbonは、フィリピン大学やベトナム国家農業大学と共同でAWDの実証研究を行い、研究成果を本プロジェクトに活用します。

3.クレジット創出までの労力削減
 Green Carbonはプラットフォームサービス「Agreen(読み:アグリーン)※3」を活用し、農家のクレジット創出まで労力を削減します。Agreenはクレジット創出量を試算するとともに、必要書類をサービスサイトへアップロードすることで、複雑な申請手続きからプロジェクトの実施支援、クレジットの販売までを一気通貫で支援するワンプラットフォームサービスです。現時点では国内のみでの運用ですが、今年を目処に海外でも展開していく予定です。

4.今後の展開
 Green Carbonと日本工営は協業を通して、東南アジアにおけるAWDによるクレジット創出と農家への収益還元の実証と拡大を行います。今後は、東南アジアでのクレジット創出事業のノウハウを用いて、日本工営が事業を行う中東・アフリカ・中南米・その他地域への展開を目指します。

5.東南アジア(タイ・フィリピン・ベトナム)AWD実施によるポテンシャル
日本工営が実施した業務に関連する灌漑施設はタイ・フィリピン・ベトナムに計60施設あり、1施設あたりの水田面積を約1万haとして計算した場合、総面積は約60万haに登ります。すべての水田でAWDを導入した場合(多期作が一般的なことを考慮)、約360万t※4の温室効果ガス削減が見込まれ、カーボンクレジット価格に換算すると、約72億円/年※5の経済価値を生み出すことになります。

※1:中干し:水稲の栽培期間中、出穂前に一度水田の水を抜いて田面を乾かすことで、過剰な分げつ(根元付近からの枝分かれ)を防止し、成長を制御する作業。

※2:AWD:間断灌漑(AWD: Alternate Wetting and Drying)は水田の水位を目安に、数日おきに水田に水を満たした状態と水を落として干した状態を繰り返すという手法です。間断灌漑(AWD)の場合、連続的な灌漑と比較して水使用量を削減できるため、水資源の保全にも寄与します。

※3:Agreen(アグリーン)公式サイト:https://agreen.cloud/

※4:水田1 haあたりCO2換算で6 tの削減として算出、当社調べ。

※5:1 tあたり2,000円/年として算出、当社調べ。

●Green Carbon株式会社代表取締役 大北 潤のコメント

「AWDは水を多量に使用するので水田の水管理が重要ですが、東南アジアでは灌漑施設・設備が整っていない地域が多く、そのような地域ではAWDによるクレジット創出が難しいです。そこで日本工営さんが関わってきた灌漑施設を活用し、水管理をしやすくすることで多くの農家でクレジット創出が可能となります。また、日本工営さんが農家に農法支援やAWDの方法指導を実施することで、農家の生産性向上にも繋がると共に、脱炭素化に寄与してまいります。」

●日本工営株式会社常務執行役員 松田 寛志 氏のコメント

「日本工営はこれまでの途上国の農業・灌漑事業の経験を活かし、国内および途上国における灌漑施設の水管理・農法指導等を通じて、クレジットの創出や農家の生計向上を目指します。そして、間断灌漑(AWD)の促進を通じて、メタンガスの発生を抑制し、かつ稲の収量を増加させることで、脱炭素化と貧困の撲滅に寄与します。国内外でクレジットの創出・販売事業をリードするGreen Carbon株式会社と協力して、持続可能な社会の実現を目指す体制を構築します。」

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