ASEAN地域における低炭素農業とカーボンクレジット創出を推進
ネイチャーベースのカーボンクレジット創出販売事業を展開するGreen Carbon株式会社(代表取締役:大北潤、以下Green Carbon(読み:グリーンカーボン))は、2025年3月17日(月)~19日(水)に、IRRI、AJC、SEARCA等の国際機関が主催する、東京で開催されたASEAN-Japan Workshop on Carbon Neutrality, Food Security, and Agricultural Innovation(以下、本イベント)に登壇したことをお知らせします。
本イベントでは、ASEAN諸国と日本の協力による低炭素農業の推進、およびカーボンクレジットを活用した農業の持続可能な発展について議論が行われました。Green Carbonは17日(水)のSession 2(トランジションファイナンス)およびSession 3(アグリテック企業発表セッション)に登壇しました。本発表では、ASEAN諸国における農業分野でのカーボンクレジット創出に関する知見を共有するとともに、今後ASEAN全域での協力体制のもと取り組むべき課題について議論を深めました。
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◆本イベント登壇の背景
Green Carbonは、東南アジアを中心に自然由来のカーボンクレジット創出に取り組んでおり、森林保全、水田、マングローブ植林、牛のゲップ削減、バイオ炭プロジェクトなど幅広く展開しています。特に、東南アジア地域では水田由来のカーボンクレジット創出プロジェクトの開発を推進するとともに、現地農家の生計向上や農業生産性の改善に取り組んでいます。また、プロジェクトの適地探索およびモニタリングにおいては、衛星データを活用しています。
ASEAN地域では、総温室効果ガス(GHG)排出量のうち約10-20%が水田からのメタンガス排出に起因しています※1。これは世界全体のGHG排出量の約1.5%が稲作由来である※2ことと比較すると、ASEAN地域における水田メタン排出の影響が特に大きいことがわかります。世界の米の主要生産地である同地域では、排出量削減に取り組むべく様々な策が取られています。各国政府や国際機関は、農業の持続可能な発展と低炭素化を促進するため、カーボンクレジットの活用に注目しています。
Green Carbonは、日本およびASEAN地域4カ国においてAWD(間断灌漑※3)を通じたカーボンクレジット創出を進めています。特に、2024年より開始したベトナムにおけるAWDプロジェクトでは、メタン排出量の削減および収量向上の成果を確認しています。これらの経験を背景として、農業の低炭素化、カーボン市場の拡大、農家への経済的インセンティブ創出について知見を共有すべく、IRRIとSEARCAより本イベントに招待されました。



◆本イベントにおける発表内容
Session 2:トランジションファイナンスとカーボンクレジット市場の可能性 |
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J-クレジットの成功要因:日本のJ-クレジット制度の強み(政府主導の認証制度、標準化されたMRV、企業ニーズとのマッチング)を紹介。 |
ASEANへの適用可能性: 各国で共通のカーボンクレジット制度を整備し、域内市場の活性化を促進。 |
透明性の確保:デジタルMRVやブロックチェーンの活用によるグリーンウォッシュ対策を紹介。 |
Session 3:アグリテック企業発表 – Green Carbonの取り組み紹介 |
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農業分野におけるカーボンクレジット市場の成長:日本、ベトナム、フィリピン、タイでのプロジェクト事例を紹介。 |
AWDの環境・経済的メリット(目標数値):水田のメタン排出量60%削減、農家の収益向上($500-600/haの追加収入)。 |
技術革新の活用:JAXAとの共同研究による衛星データ活用、Agreenプラットフォーム(クレジット創出簡易化ツール)の活用によるカーボンクレジットの取引支援。 |
下記表は、ASEANのカーボンクレジット市場の課題とGreen Carbonの貢献をグラフでまとめたものです。日本・ASEANの関係者ごとの課題とGreen Carbonが提供する解決策を明記しています。
対象:ASEAN各国政府
抱えている課題 | Green Carbonが提供できる解決策 |
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① 統一的なカーボンクレジット制度がない(国ごとに基準や方法論が異なる)② MRV(測定・報告・検証)の仕組みが未整備③ カーボンクレジット市場の透明性が低い | ・日本のJクレジットの成功モデルをASEANに応用する提案を行う・各ステークホルダー(各認証機関、JAXA、衛星解析業者など)と連携しデジタルMRVを確立⇒透明性を向上・「Agreen」プラットフォームを活用し、カーボンクレジット創出手法を均一化⇒透明性を向上 |
対象:日本政府
抱えている課題 | Green Carbonが提供できる解決策 |
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① ASEANでのJクレジットやJCMの活用が限定的② カーボンクレジット取引の国際展開が十分でない | ・JCM(二国間クレジット制度※4)の枠組み拡大をASEAN各国政府と協議・日本企業がASEANのクレジットを活用しやすい仕組みを構築 |
対象:ASEANの企業(カーボンクレジット購入者)
抱えている課題 | Green Carbonが提供できる解決策 |
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① 適切なカーボンクレジットが見つけにくい(品質や信頼性が不透明)② 自社のサプライチェーンでの脱炭素化が進まない | ・「Agreen」プラットフォームでクレジットの透明性を向上し、適切なプロジェクトを紹介 |
対象:研究機関・大学
抱えている課題 | Green Carbonが提供できる解決策 |
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① 農業分野の炭素貯留量を測定する技術が発展途上② データ収集のための資金・リソースが不足 | ・衛星データやAI技術を活用し測定技術を向上・Green Carbonが資金・リソース提供し、現地測定を支援 |
対象:ASEANの農家・農業団体
抱えている課題 | Green Carbonが提供できる解決策 |
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① カーボンクレジットの申請や取引が複雑② 低炭素農業を導入する資金が不足③ カーボンクレジットの収益が不安定 | ・「Agreen」プラットフォームを活用し、農家が簡単にクレジット登録・販売できる仕組みを提供・クレジットの最低価格保証、企業連携による安定収益化 |
◆今後の取り組み
Green Carbonは、本イベントで得た知見を活かし、ASEAN各国の政府・企業・農家との連携を強化し、以下の取り組みを推進してまいります。
○ASEAN地域におけるカーボンクレジット市場の構築
•J-クレジットに参考にした標準化されたクレジット制度の開発支援
•タイ、ベトナム、フィリピン、カンボジア、マレーシア、インドネシアでのプロジェクト拡大
•デジタルMRVの実証実験
⇒衛星データを活用した農業排出量測定
⇒「Agreen」プラットフォームを通じたカーボンクレジット管理システムの開発および
クレジット取引支援の展開
○農家への直接的なインセンティブ提供
•クレジット収益の一部を農家に還元するスキームの確立
•クレジットの最低価格保証や企業向け税制優遇の提案
Green Carbonは、カーボンクレジットを活用した持続可能な農業の発展を通じて、ASEAN地域の気候変動対策と農業支援に貢献してまいります。
◆本イベント概要
本イベントには、ASEAN各国の農業・環境・経済関連省庁、日本の農林水産省、国際機関(IRRI, SEARCA, AJC)をはじめとした約100名以上の政策担当者・企業・研究者が参加。農業分野におけるカーボンニュートラルと食料安全保障の実現に向けた具体的な連携について活発な議論が行われました
主催: International Rice Research Institute (IRRI), ASEAN-Japan Centre (AJC), Southeast Asian Regional Center for Graduate Study and Research in Agriculture (SEARCA)
共催: 日本農林水産省(MAFF)
日時: 2025年3月17日(月)~19日(水)
場所: 東京・ASEANホール
登壇セッション:Session2「トランジションファイナンス」・Session3「アグリテック企業発表セッション」
※1:ASEAN地域における稲作からのGHG排出量
参照:国際農業研究協議グループ(CGIAR;2024)
※2:世界全体における稲作からのGHG排出量
参照:Food Forward NDCs(2024)
https://foodforwardndcs.panda.org/food-production/reducing-emissions-from-rice-cultivation
※3:AWD(間断灌漑)
間断灌漑(AWD)は水田の水位を目安に、数日おきに入水と自然乾燥を繰り返すという手法になります。間断灌漑(AWD)の場合、連続的な入水に比べ、水使用量を削減することができ、水資源の保全にも寄与します。
※4:二国間クレジット制度(JCM:Joint Crediting Mechanism)
JCMとは、日本が有する優れた脱炭素技術等の普及を通じて、パートナー国の温室効果ガス排出削減に貢献し、その削減分を両国の削減目標の達成に活用する制度です。日本政府が主導する形で、パートナー国との間で構築される二国間制度であり、2024年2月時点で29カ国がパートナー国として参加しています。
◆Green Carbon 株式会社
代表者 :代表取締役 大北 潤
所在地 :東京都港区赤坂5-2-33IsaI AKASAKA607
設立 :2019年12月
事業内容 :カーボンクレジット創出販売事業、農業関連事業、環境関連事業、その他、関連する事業及びESGコンサルティング事業
URL : https://green-carbon.co.jp/
◆Green Carbon事業紹介
Green Carbonは、「生命の力で、地球を救う」をビジョンとして掲げ、国内外において自然由来のカーボンクレジット創出・登録・販売までを一気通貫してサポートする事業を展開しており、その他にも、農業関連事業、研究開発事業、ESGコンサルティング事業なども展開しております。
事業展開領域は日本、東南アジアを中心にオーストラリア、南米まで拡大しており、自然由来のカーボンクレジット(水田、バイオ炭、森林保全、カーボンファーミング、マングローブ植林、牛のゲップなど)を創出しています。国内の水田においては、2023年度日本初・最大級(約6,220t)で水田のJ-クレジットの認証を取得しており、2024年度は約40,000ha(約100,000t)の創出。また、クレジット登録・申請・販売までをワンプラットフォームで完結するサービス「Agreen(アグリーン)」を提供しており、クレジットの申請登録時にかかる手続きや書類作成などを簡略化し、クレジット創出者の工数を削減しています。
◆GREEN CARBON JAPAN VIETNAM COMPANY LIMITED
略称 :GREEN CARBON JAPAN VIETNAM CO,. LTD
代表者 :代表取締役 大北 潤
所在地 :10th Floor, The Nexus Building, 34-3B Ton Duc Thang, Ben Nghe Ward, District 1, Ho Chi Minh City, Vietnam
設立 :2024年8月
事業内容 :カーボンクレジット創出販売事業、農業関連事業
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