マイクロファイナンス×カーボンクレジットにより1,000億円規模の市場を創出
カーボンクレジットの創出・販売事業を展開しているGreen Carbon株式会社(代表取締役:大北潤/読み:グリーンカーボン、以下 Green Carbon)は、株式会社アジクル(以下アジクル)とバングラデシュの農業の温室効果ガス排出量の削減を通じたカーボンクレジット創出事業を行うための基本合意書を締結したことをお知らせいたします。
◆基本合意締結の背景
バングラデシュは、近年首都ダッカ周辺を中心に大きく発展をしており、人口は約1億7000万にもなります。一方で、平均月収は約4万1,000円であり、特に都市部と農村部では約2倍の月収の差が存在し、貧富の格差が社会問題となっています。アジクルの包括業務提携先である UGIグループ、ANTAR Society for Development (以下、ANTAR)では、バングラデシュの農家に対し、マイクロファイナンス(小口融資)事業を通して、農家の金銭的なサポートだけでなく、生活までをサポートしています。また、ICTを活用した農業データの収集・分析も進めており、中でもデジタル営農システム 「GEOBIS」 は、農業由来のカーボンクレジット創出のためのデータ計測に活用予定で、一般財団法人日本国際協力システム(JICS)から 「2023年度新興国DX等新規事業創造推進支援事業」に採択されています。
参照:https://www.jics.or.jp/hojokin3/index.html
この度、Green Carbonとアジクルは両者の持つノウハウを活用し、マイクロファイナンス×カーボンクレジットという新しい形でバングラデシュでのカーボンクレジット創出を目指すため、基本合意書を締結する運びとなりました。Green Carbonは世界各国で培った農業由来の温室効果ガス削減方法の導入やカーボンクレジットの創出・販売を行い、アジクルはバングラデシュの農家との提携、営農指導、データ計測、現地政府調整を行うことで同国の気候変動対策に貢献してまいります。また、脱炭素への貢献のみならず、カーボンクレジットの収益の一部をマイクロファイナンス会員の農家に還元することで、貧困問題解決へも貢献いたします。
(アジクル撮影)マイクロファイナンス会員
◆今後の展望
バングラデシュは、温暖な気候、豊かな土壌と農業技術開発により、年に3回の稲作周期をもって世界第3位※1の稲作生産量(3,760 万t)を誇る農業国です。延べ 1,171万 ha の水田からは、CO2換算で3,515万t-CO2-eの温室効果ガス※2の削減量、カーボンクレジット創出量にして 1,055 億円の経済価値を生み出す潜在性を有しています。
2024年では3万t-CO2-e (1万ha相当)、2025年には30万t-CO2-e (10万ha相当)の温室効果ガスを削減し、約10億円のクレジット創出を目指してまいります。 まずは、UGIグループのANTARのマイクロファイナンス会員約3万人にアプローチを行い、その他のマイクロファイナンス機関の約2,500万人の会員にも広げていくことで、バングラデシュ全土への拡大を目指します。
※1 参考:日本の作付面積:140.3 万 ha, 稲作生産量:756.4 万t(2021 年)
※2 GHG 削減量は、3t-CO2-e/ha、カーボンクレジット創出量は、3,000 円/t-CO2-eにて算出
(アジクル撮影)現地の稲作の様子
◆プロジェクトによる地域への貢献
①貧困問題解決
平均収入の少ない農家へカーボンクレジットによる副収入を通した貧困問題への貢献
②水資源の保全
クレジット創出のために間断灌水(AWD)※3を実施することで、水使用量削減による水資源保全
③農業の生産性向上
農業の情報管理を行う「GEOBIS」の導入によりクレジット創出に必要な情報管理に加え、農作業過程もデジタルで管理することによる生産性と収穫量の向上
※3 稲の生育途中において、田に水を満たした状態と、水を落として干した状態を数日おきに繰り返す農法。
本プロジェクトでは気候変動対策に加え、そのほかの地域課題に対しても貢献します。