Green Carbon株式会社(代表取締役:大北潤、以下Green Carbon(読み:グリーンカーボン))はこの度、タイにて精米機・農機の製造を行う CLP Engineering CO., LTD. (代表:Vachara Leegomonchai)の契約農家の水田圃場において水管理によるメタンガス削減プロジェクトに向けた連携を開始したことをお知らせします。
◆パートナーシップの背景
Green Carbonは、カーボンクレジット創出から販売までを一気通貫してサポートするスタートアップ企業で、東南アジア地域において、各国大学・研究機関や現地パートナーと連携することで、水田におけるメタンガス排出削減プロジェクトを推進・拡大しております。
2023年10月にタイ地理情報・宇宙技術開発機構(以下、GISTDA)が主催する「Thailand Space Week 2023」に登壇したことを皮切りに、タイでのプロジェクト組成について、タイで精米機・農機を製造している CLP Engineering CO.,LTD.と協議を進めてまいりました。
今回CLP Engineering社とタイ全土でのAWDの導入及びカーボンクレジット創出を目指す方向性が一致し、2023年12月7日にパートナーシップ連携に関する覚書を締結いたしました。
今後、同社の契約農家の水田圃場にてAWDプロジェクトの社会実装を目指していくため、2024年2月から同社の所有圃場約20haの規模で実証をスタートいたします。将来的には、本実証結果をもとにタイ全土の農地約900万haへの普及を目指してまいります。また、最終的にはタイの稲作生産システムの改善・効率化のため、CLP Engineeringが開発する温室育苗システムや精米機を導入することで、タイにおける米の生産量及び品質の向上を目指します。
◆プロジェクトの概要
間断灌漑(AWD)と呼ばれる手法により、水田圃場から排出されるメタンガスの削減を行います。具体的には、水田に水を満たした状態と、乾燥した状態とを数日おきにくり返し、土壌中のメタンガスを生成する細菌の活動を抑制することでメタンガスの排出を抑制します。
CLP Engineering CO., Ltd.には本プロジェクトにおいて、実証圃場の確保、AWDの運営・管理、水位やメタンガス計測機器の開発を担当していただきます。
・ CLP Engineering CO., LTD.訪問の様子
・実証予定農地
◯間断灌漑(AWD)の実施イメージ
間断灌漑(AWD)は水田の水位を目安に、数日おきに入水と自然乾燥を繰り返すという手法になります。間断灌漑(AWD)の場合、連続的な入水に比べ、水使用量を削減することができ、水資源の保全にも寄与します。
●間断灌漑(AWD)実施の水位変動イメージ
◆タイの水田における経済価値と削減量のポテンシャルについて
タイの水田面積は約900万ha(日本の約5倍)にのぼります。また、タイ全土の水田でAWDを導入した場合(多期作が一般的なことを考慮)、約3,600万t※1の温室効果ガス削減が見込まれます。これをカーボンクレジット価格に換算すると、約360億円※2の経済価値を生み出すことになります。
※1 水田1haあたりCO2換算で4tの削減として算出
※2 1tあたり1,000円として算出
◆ CLP Engineering CO., Ltd.紹介
CLP Engineeringはタイのパトゥムターニー県に本社を構えている、精米機・農機メーカーです。自動車メーカー、バイクメーカーに納入する部品製造からスタートし、現在は研究開発チームを擁し、国内外の顧客ニーズに答える製品開発を続けています。タイのお米の効率的な生産や環境に優しいシステムの構築にも力を入れています。