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フィリピン大学と連携し、水稲栽培で発生するメタンガス削減PJの実証を開始。プロジェクトで削減したCO2をボランタリークレジットとして取得

稲作由来のメタンガス排出量削減により240億円の市場価値を創出する フィリピン拡大戦略を推進

この度、一般社団法人Natural Capitalが設立した「ナチュラルキャピタルクレジット・コンソーシアム(NCCC)」、フィリピン大学と連携し、水稲栽培で発生するメタンガス削減プロジェクトの実証を2023年1月より開始したことをお知らせします。本プロジェクトは、フィリピン大学が保有する水田0.5haで、*¹間断灌水(AWD)を導入し、メタンガス発生量を削減、その削減量(差分)からカーボンクレジットを創出します。創出したカーボンクレジットを、VCS、GS、NCCCなどの認証機関に登録し、ボランタリークレジットとして販売します。フィリピン全土の水田にて、メタンガス排出量を削減した場合、約240億円の市場価値を創出します。

◆フィリピン拡大戦略の背景

フィリピンは農業由来で年6,000万tのGHGを排出しており、2030年までに75%削減を目標に掲げています。(農業由来のGHG排出量4,500万t削減が必要)。Green Carbonは、4,500万t削減に向けた計画の1歩として、フィリピン大学とフィリピン大学助教授Patrick Rocamora 氏と連携し、水稲栽培で発生するメタンガス削減プロジェクトの実証を開始しました。まずは、ベースライン(基準値)測定に向け、チャンバー方式を用いメタンガスを採取、計測を実施しました。その後、間断灌水(AWD)を導入、メタンガス発生量を計測し、その削減量(差分)をカーボンクレジットとして創出します。この計測方法は、*³CDMの方法論AMS-III.AU.に準拠して測定しています。今後はフィリピン国内で実証エリアを拡大し、創出するカーボンクレジットの量を拡大してまいります。

○フィリピン大学実証地(水田内)でのメタンガス発生量計測写真

◆フィリピン全土の水田を活用した場合の経済価値と削減量のポテンシャル

フィリピンの水田面積は約481万haにのぼります。また、フィリピン全土の水田で間断灌水を導入した場合のCO2削減量は、約2,405万t(5t-CO2/haで計算)にのぼり、カーボンクレジット創出量に換算すると、約240億円の経済価値を創出します。(1,000円/tで計算)

◆今後のフィリピン拡大戦略

農林水産省の統計を参照すると、フィリピンの主要作物2位に稲作が入っており、元々フィリピンで稲作が盛んなことが分かります。しかし、主要作物ではあるものの、稲作の収益だけでは生活がままならない農家も多い現状がございます。そこで、Green Carbonは、水田のメタンガス削減によるカーボンクレジット創出に目を付け、稲作による収益だけでなく、農家のカーボンクレジット創出、販売を支援し、新たな収益源を創出します。メタンガス削減と農家の新たな収益源創出を掲げ、フィリピンでの拡大戦略を推進してまいります。まずは、フィリピン大学との実証実験の結果を経てブラカン州と連携し、1,000ha実施。その後他の州とも連携し10,000haを目指します。目標として2030年度までに稲作のメタンガス削減プロジェクトで2,000万t-CO2削減を目指します。メタンガス削減プロジェクト以外にも、同時並行で植林やマングローブの植林、カーボンファーミング、肥料削減、バイオ炭プロジェクトを進めていきます。また、創出したカーボンクレジットを、VCS、GS、NCCCなどの認証機関に登録し、ボランタリークレジットとして販売します。

○フィリピンの稲作栽培におけるhaあたりの収穫量の変遷

2019年から2021年にかけて、稲作におけるhaあたりの収穫量は増加傾向にあり、収穫量4~5t/haの水田が13%増加しています。しかし、4t以下の農家はまだまだ生計が立てられていない状況です。そこで上述した通り、Green Carbonは、稲作の収益だけでは生活がままならない農家に対し、水田のメタンガス削減によるカーボンクレジット創出、販売を支援し、稲作による収益だけでなく、新たな収益源を創出します。

*¹間断灌水(AWD):水を満たした状態と、干した状態とを数日おきにくり返す水管理方法。3~4 日間隔で入水と自然落水を繰り返し、水を管理することで、メタンガス発生量を抑制できる。

*²ODA・DENR:ODA(Official Development Assistance(政府開発援助))は、開発途上地域の開発を、主たる目的とする政府及び政府関係機関による国際協力活動を指します。DENR(Department of Environment and Natural Resources(環境天然資源省))は、国の天然資源の調査、開発、利用及び保護を管理・監督することを所管するフィリピンの中央省庁を指します。

*³CDMはクリーン開発メカニズムと呼ばれ、発展途上国が実施する二酸化炭素排出量削減への取組を、先進国が資金や技術で支援し、達成した排出量削減分を両国で分配ことができる制度です。気候変動枠組条約京都議定書に盛り込まれた「京都メカニズム」と呼ばれる制度の一つで、京都議定書第12条に規定されています。今回用いた方法論AMS-III.AU.は、稲作における水管理の調整によるメタン排出削減 Version 4.0です。

参考URL:https://cdm.unfccc.int/methodologies/DB/D14KAKRJEW4OTHEA4YJICOHM26M6BM

農林水産省出典:フィリピンの農林水産業概況

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